第48回 紀美野町・平石様「忙しい『のんびり』を満喫」

今回お伺いしたのは、紀美野町の生石高原を望む地で農家民泊をされている平石様です。
農家民泊だけでなく、奥様のお料理の腕を生かして、一組限定のお食事処もされています。

紀美野町には、カフェやパン屋さん、農家民宿などを運営している移住した人も多く、町も移住政策に熱心で多くの方が移住されています。

家の前から望む生石高原(中央左が山頂)。静かだけど寂しくない「ちょうどいい田舎」

夢の実現に向けて

平石様ご夫妻は、もと機械メーカーのサラリーマン。ご主人様が定年すこし前に退職したのを機に、こちらに移住しました。
大阪で暮らしていたのですが、お二人とも都会よりも田舎で暮らしたいとの夢がありました。

ご主人は海釣りが好きで、釣りに行けるところが希望でした。

奥様も同じ会社だったのですが、10年ほど先に退職し、得意な料理のお店をしたいと調理師免許を取得していました。

お二人とも夢の実現に向けて、着々と準備を進めていたそうです。

やっと見つけた希望通りの物件

ご主人は田辺方面によく釣りに来ていたこともあり、最初は県南部の田辺や中辺路を中心に探していました。

「せっかくなら古民家風の家がいいけど、利便性を考えると水回りなどすぐにでも住める状態がいい。また民泊や小料理屋もしたいので、母屋と離れがあり、畑もあれば。」という難しい条件でかなりの物件を見たのですが、なかなかいい物件が見つかりません。

そんなとき、和歌山県の移住イベントで紀美野町のブースを見て、県南部から紀美野町周辺にも探す範囲を広げました。
そこで当社にご相談いただき、多くの物件をご紹介いたしました。
平石様にも何度か足をお運びいただき、やっと見つかったのがこちらでした。

平石様のお宅は、農家民泊やお食事処として使っている木造家屋と、少し新しい鉄骨ALCの家が隣接しています。鉄骨ALCの家は直前まで元の住人が暮らしており、すぐに住める状態でした。
望み通りの物件だったため、昨年の2月に引っ越してきました。

また木造家屋はもとの母屋だったようですが、それほど古くなく、一部はそのままでも使える状態でした。
まずは新しいほうの家を住居として引っ越し、木造家屋を民泊兼お食事処としてリフォームしました。

お食事を提供するスペース。天井は梁を生かして高くしています。
一回一組限定で、自家栽培の野菜を中心に提供しています。

移住・開業のサポート

引っ越してくるといっても、都会から田舎に来ると、ご近所とのお付き合いなど戸惑うことも多くあります。しかし、紀美野町では移住政策に熱心で、担当職員によるアドバイスやサポートがあり、大変助かったとのことでした。

民泊を開業するにあたっても必要な手続きなどのサポートがあり、開業後は小学生の農家宿泊体験、海外(マレーシア・シンガポール・台湾)の学生による宿泊体験、移住希望者向けツアーの宿泊など、送客も協力してくれています。

また町の事業や紹介で知り合った他の移住者の方たちとも懇意にしており、情報交換などができるのもありがたいそうです。

民泊に使用しているお部屋。トイレ・お風呂はリフォームしましたが、しっかりした造りだったのでお部屋はほぼそのまま。田舎の家の雰囲気が残っています。
田舎暮らしを考えられている方も、お二人の体験談を聞きがてら宿泊してみてはいかがでしょうか。

ご近所にも溶け込んで

紀美野町には移住された方が多いため、住民の皆様も暖かく迎えてくれたそうです。

ご夫妻の人柄ももちろんですが、近所に挨拶に伺ったらいろいろと教えてくれたり、お食事処をオープンした際にはご近所の皆さんを招待したり、ご主人が大漁だったときは魚を配ったりしているうちに、すっかりと地域に溶け込んでいったそうです。
また畑を貸していただいたり、お茶をつんで茶もみを教えてくれたりなど親切にしていただいているそうです。
そのうえご近所の方がお食事や宴会にも利用してくれるようになり、「民泊よりも食事の方が多い」ようになりました。

もともとこの地域は、シュロを栽培してタワシやほうき生産が盛んだった地。家の前に、放置されて伸び放題のシュロの木があったので伐採し、看板に活用しています。
近所の方には、看板はなくても「もと〇〇さんの家」や「〇〇さんの家の隣り」でわかるそうですが・・

便利な田舎暮らしに大満足

田舎とはいえ、道路整備が進んでおり、市街地からはほとんどが2車線の道路で、高速道路の海南ICから20分ほどと便利なところです。スーパーやホームセンター、病院には10分ちょっとなので普段の生活には困りません。

そんな便利なのに、静かで自然が豊か。
春はウグイスの声が、そのあとは新緑、家に入ってくるほどの蛍、そして満点の星空。都会と全然違うお米や水のおいしさ。自家栽培の採れたて無農薬野菜。

ご主人のお母さまもご一緒なのですが、都会と違い車もほとんど通らないため、散歩をしても安心。引っ越してからのほうがお元気になられたそうです。

正面奥に見えるのが平石様のお宅。川の右側は2車線の車道ですが、平石様側はほとんど車は通りません。

野生動物にはビックリ

町役場の担当職員から、獣害が多いので対策することを聞いていたため、まずは畑のまわりに猪対策の柵を設置しました。しかし、鹿は柵を飛び越えて、アライグマやタヌキはどこからともなく侵入してきます。
ここでも町役場の協力で捕獲したりしていますが、「まあ近くで野生動物を見られるのもいいか」と、ある程度はあきらめているとのことです。

いちばん驚いたのは、猟犬に追われたイノシシがすぐ近くを走り抜けたこと。このときばかりはビックリしたそうです。

いろいろな野菜を作っている畑。ここ以外の畑にもともとあった柿・梅・びわ・レモンなどに加え、ブドウも植えたので、年間を通じての収穫も楽しみのひとつ。

「のんびり」ばかりはしていられない

「田舎暮らし」というと、のんびりした生活を想像しますが、平石様ご夫妻はなかなか「のんびり」しておられません。民泊や食事のお客様もありますが、自家菜園や裏山の手入れは毎日、ご主人は釣りに、奥様はなんとソフトボールの現役選手。学生時代から続けておられて現在もシニアチームでプレーされており、近々県代表チームの一員として大会出場されるそうです。

お子様・お孫さんも楽しみに

ご夫妻には3人のお子様と5人のお孫さんがいらっしゃいます。大阪、名古屋在住とのことですが、遊びにくるのも便利。
ただ、休みにはお客様もいらっしゃることが多く、ここでも「のんびり」とはしていられないそうです。

それでも都会生活とは違う豊かな自然のなかで、忙しい「のんびり」を自分のペースで満喫されている平石様ご夫妻でした。


紀美野町の名所「生石高原」。見渡す限りのススキを、360度パノラマでご覧ください。
(クリックするとgoogleにリンクしてパノラマがご覧いただけます)

平石様の「四季の宿 きみの」紹介ページ(紀美野町観光協会内)

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